Seamus Blake / Way Out Willy
1.Fear Of Roaming
2.Badlands
3.Trust In You
4.Way Out Willy
5.Hoi Polloi
6.The Jupiter Line
Seamus Blake(ts)
Lage Lund(g)
Orlando LeFleming(b)
David Kikoski(p)
Bill Stewart(ds)
Label; Criss Cross, CRISS1288CD
Recorded at Systems Two Recording Studios, Brooklyn, N.Y. on March 19, 2006
2002年のセロニアス・モンク/コンペティションで優勝したシーマス・ブレイクによる、自身の名義ではクリスクロス5作目となります。
またギターのLage Lundは、2005年のセロニアス・モンク・コンペティションで優勝し、同年の12月にデビュー作"Romantic Latino for Ladies"を録音しており、本作はその3ヶ月後の録音になります。
Lage Lundのデビュー作では、あまり奔放さに欠けたような、ちょっと地味な内容でしたが、たった3ヶ月ですでに現在のLage節が爆発しています(デビュー作もじっくり聴くとその片鱗は伺えるのですが・・)。
あと時折みせるピーター・バーンスタインっぽさが聴いていて嬉しくなりますね。
本作は全編シーマス・ブレイク自身のオリジナル曲ですが、結構良い曲書きます。
また、本作の2年後にベースのオルランド・レフレミング以外は同じメンバーで同レーベルから"Bellwethe"をリリースしていますが、こちらもかなり良いです(特に7拍子のマイナーブルース曲"Minor Celebrity"はかなり聴きました)。
少し話はそれますが、以前Jazz Life誌にシーマスのクリニックの様子が取り上げられていて、その中でスーパーインポーズについて(なんでもバークリー時代のルームメイトだったKurt Rosenwinkelに教えてもらったそうで)と、メシアンの第三旋法については結構興味深かったです。
オリヴィエ・メシアン(Olivier Messiaen)はフランスの作曲家で、「移調の限られた旋法」として「特定の音程パターンの反復を特徴とする特殊な旋法」を提唱。
1944年にそれを体系化した著作「わが音楽語法」を発表。
日本でも1954年に平尾貴四男訳にて出版されてるみたいですが、現在では絶版になっているようですね。
この理論体系については、ちゃんと勉強してないのでよくわからないのですが、全部で7種の音階があり、第一旋法はドビュッシーで有名な、またビル・エヴァンスやウェス・モンゴメリーなどジャズでもよく使われるホールトーン・スケール(全音音階)で、第二旋法は所謂コンビネーション・オブ・ディミニッシュト・スケールとして、こちらもジャズでは欠かせないものですね。
そして今回の第三旋法は、アレクサンドル・チェレプニンの「チェレプニン音階」を3番目から始めたものと同じものみたいで、メシアンに至っては自身作曲の「トゥーランガリラ交響曲」に多く用いられているようです。
この第三旋法は、全音→半音→半音の繰り返しで、C,D,bE,E,#F,G,bA,bB,Bの9つの音で構成されます。
シーマスの場合は、Cm(C,D,bE)、Em(E,#F,G)、Abm(bA,bB,B)として括っていましたが、私の場合はCmaj7、Emaj7、Abmajと括ってみました。
これまでLage Lundの採譜を何曲かしてきましたが、彼の場合はEmajをよく使っています(これにより自動的にオーギュメントになる)。
またトニックへ解決する時は、Abmajの方がアウト感があってしっくりくるなという感じがしました↓
メシアンについては、いつかちゃんと取り組んでみたいですね。